胃なしケイコの【日日是散歩】(にちにちこれさんぽ)

36歳で胃がん(印環細胞癌)に 胃と胆のう全摘から10年目の記録

手術

f:id:coolpassion:20210325010018p:plain

 手術前に母が面会にくる予定だったけど、なかなかこない

手術室へ移動しないといけないギリギリの時間で、看護師さんが困っていた。

「最後に会っておきたいですよね。もう少し待ってみましょうか」と言ってくれた。

 

このまま帰ってこれないこともあるかもしれないから、さすがに挨拶くらいしたい。

出掛けにお客さんが来てしまって対応していた母が、走ってきた。

 

ほんとに一言交わすだけだった

「頑張ってね。行ってらっしゃい」

「行ってきます」

 

手を振って別れる。

あぁ、ひとりなんだなって思った。


 

手術室には山下達郎のクリスマスイブが流れていた

♪雨は夜更け過ぎに

雪へと変わるだろう♪

 

執刀医のダンディな先生が部屋の隅で足を組んで座って

缶コーヒーを手に一点を見つめていた

 

いつものルーティンなのかな?

あえてこちらを見ないようにしている感じもする。

 

手術室入ってすぐに、麻酔で意識がなくなるのかと思ったら

意外といろいろ目に入ってきてしまって緊張してくる。

 

麻酔科の先生が来て、術後に鎮痛剤を背中から入れていく為の管を先に入れていきますと言われる。

えー!そうなの?知らなかった。

背中を丸めて寝るように言われて、麻酔してからそこに針を入れていくんだけど、

なんかめちゃくちゃ違和感があって2回くらいやり直してもらった。

その間に、どんどん緊張して怖くなってきた

 

想像していたのと違うよ〜ドラマだとすぐ始まるじゃん。

 

「もう、これでいきましょう」って言われて

全身麻酔


マスクが近づいてきて

「眠たくなりますよ」って言われてすぐにふわ〜と意識が遠のいていった。

あぁ、これこれ。イメージ通り。

こうやって死ねるならいいなぁ〜って思った。

 


 

ガチャガチャと器具を片付ける音が聞こえてきて目が覚めた

意識が戻ってきたら

すっごく寒くて体がガタガタ震えていた

 

看護師さんから声をかけられたとき

「寒いです。すごく」と言ったのは覚えている。

 

今、毛布かけますからねって言われてICUに運ばれてから、気づくとベットの周りにいる家族の声が聞こえてきた。

 

「聞こえているのかな?今。でも、動かないよ。まだ意識ないんじゃない?」とか言っている。

聞こえているよ。

でも、目も開かない。口も動かせない。体が動かない。

チューブがいっぱいついていて話せなかった。

 

その晩、看護師さんが2時間おきくらいに私を転がしにきた。

「どんなに若くても、動かないと一晩で床ずれができちゃうんです。

なので、痛いですけど頑張って寝返りを打ってくださいね。せーのー!」って言われて

転がされるんだけど・・・

 

うぎゃーーー

激痛

 

なんか内臓がバラバラになる感じ

優しい看護師さんに一晩中転がされて朝がきた。

 

朝から検査室で検査ですと。

支えられながら、立ち上がると激痛

 

看護師さん達が「これ終わったらケイコさんお部屋に戻してあげましょうね。

あの野戦病院みたいな部屋じゃかわいそうだもの」って言っている。

 

そう、野戦病院ね。 確かに 笑

夜中にあっちこっちからうめき声が聞こえてくるし、なんか精神的に辛かった。

 

部屋に戻ってきてから家族と幼なじみのTちゃんが来てくれた。

熱も38度以上あって、熱いし、鼻から喉を通って体の中に入っているチューブのせいで

ものすごい不快感だった。

 

朦朧としている中でわたしが発した唯一の言葉

「フカイ」

 

「痛い」でもない。

「不快」

 

暑そうにしているわたしのために、家族とTちゃんが交代でうちわで扇いでくれた。

『がんばれウチワ』さっそく大活躍。

 

Tちゃんはわたしの姿を見て、泣きながら手を握って、ずーっとわたしの足をさすってくれていた。

 

あぁ、手を握ってもらえるのってこんなに心強いんだな〜って思った。

さすってもらうのってこんなに安心するんだなって思った。

 

手術前に背中に埋め込んだチューブに麻酔だか鎮痛剤のパックがつながっていて、

「痛みがひどい時はこのボタンを押すとじゅわ〜とそれが出てくるので押してくださいね」って言われたけど、

ずっと痛いからどこで押したらいいのか、どれくらい押していていいのか正解がわからない。

 


 

<過去日記> 2011年12月2日 手術当日

11時〜手術

ICUへ移動

 

<過去日記> 2011年12月3日 術後2日

しんどい

 

自分の病室へ戻る 

 

<過去日記> 2011年12月4日 術後3日

チューブが3本とれた!

しっかし超痛い…

 

昨日はこの世の終わりだと思ったけど、終わらない1日はないと思って耐えた。
家族も私の姿を見てショック受けてたけど、昨日よりはマシになって安心してた。

 

<過去日記> 2011年12月5日 術後4日

昨日は朝、背中からの麻酔を取ったから痛みで一晩中眠れず。

どんなに若くても床擦れができるから、なるべく寝返りをうったり姿勢を変えたりするようにと言われ、寝返りうつんだけど、激痛に悶絶…

 

何もなければ今日から水分取ってよかったけど、痛みがひどいから今日は止めて様子をみましょうと言われてしまった。

手術の朝から4日間水も飲めず。
どんどん歩いて腸を動かすように言われる。

痛くても動かしたほうが傷が治りやすいらしい。
気合で歩くか…

 

看護士さんがシャンプーしてくれた
4日振りのシャンプー超きもちいい。
でも、入院前にヘッドスパにいったせいか、あんまり痒くもならず、泡も普通にたった。

 

さっき先生が回診に来て、明日から少しずつお水を飲んでもいいって。

水だ!水だ!水が飲めるぞ!
今日頑張って廊下を8往復した。

夕飯の時間暇だからもう1セットやるつもり。

 

<過去日記> 2011年12月6日 術後5日

しかし、ワタシこの消化器内科のフロアの中で断トツにヤング!
目立ってしょうがない。

 

昨日は睡眠薬を点滴してもらったものの1本目は1時間で起きてしまった。
2本目で朝5時半まで眠れた。


起きるとまた激痛。
痛みを我慢しながら、とにかく歩け歩けと言われるので、廊下を20往復以上歩いた。

 

でも、歩いてると段々姿勢が元に戻って来てる感じがわかる。

今日から飲んだ水はまあ、やっぱり水なんだけど・・・

早くリンゴジュースでも飲みたいな。

 

さっきの回診で明日から食事していいって!
6日ぶりの食事だ~

 

弟のお世話になっている方かららべっ甲でできた、トンボのブローチをいただいた。
前にしか飛ばないトンボは勝ち虫っていわれてるんだって。
今度からテーマソング「トンボ」ね!

 

<過去日記> 2011年12月7日 術後6日

今夜も痛みに七転八倒
我慢の限界につき、痛み止めを点滴してもらう。
もう、夜が怖いわ…

 

2時間ちょっとは眠れた

 

f:id:coolpassion:20210325010151j:plain 

<初ご飯>
三分粥
鯛味噌
ホットミルク
野菜のケチャップ煮

 

ほぼ液体

さすがに全部食べられない。
お粥は完食。徐々にね。

 

1回に食べれる量が少ないので、食事3回 間食3回出る。

私は貧血なので鉄剤を点滴してるけど、間食もそれを補うようなもの。


冷たくないゼリーも妙に美味しく感じる。
一日中食べて終わりそうだ…

今日はまた髪洗ってスッキリ!

 

サンタさん完成したよ~
昨日のお昼過ぎくらいまでは痛くて、座ってることも寝てることもできなかったけど、今日は集中力もありできた!

 

今日、ガン告知された日の夜に泣いて以来初めて泣いちゃった。

 

せっかく食事できるようになったのに

飲みたかったジュースとフレンチトーストが3時のおやつに出たのに

ほんの2口よくかんで食べて飲んだだけなのに

ダンピング症状が出てしまった。

 


気持ち悪さと寒気に震えながら、なんだか悲しいやら切ないやら悔しいやら…


本でも読んだし、先生からも看護婦さんからも説明があったけど、これから先のことを考えたら泣けてきた。

 

先生からは食事は2時間かけて食べるつもりで、本当に少しずつ…と改めて言われた。
スペイン人も真っ青だ。

うちのナイスガイ社長ならシエスタ導入してくれるんじゃないか?と本気で考える。

 

<過去日記> 2011年12月8日 術後7日

点滴も今日で終わりの予定。

あとは、お腹の穴に刺さっている管が取れたらシャワー浴びれるんだけど…
なかなか出てくるものの量が減らずに抜けないらしい。

 

今日先生から退院したら5キロ~10キロ体重が減ると言われた。


今の体重からそれだけ減ったらもう、未知の世界に突入だ。

 

次は「術後1週間」について書いて行きます。

20210316172308
©2021 胃なしケイコの【日日是散歩】 All rights reserved.